「世界一の牛肉ブランド」と称される神戸牛。高級かつ高品質な牛肉として国内外問わず有名であり、一度は食べてみたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、神戸牛について、定義・ルーツ・歴史・その他ブランドとの違いについて解説してきます。ぜひ最後までご覧ください。
※神戸牛の正式名称は「神戸肉」または「神戸ビーフ」ですが、本記事においては最も親しまれた呼称である「神戸牛」と記載します。
※監修者：「MEGA MEAT」の運営元である株式会社JP Mega Foodsの代表取締役、妻鹿寛史。但馬血統を知り尽くす繁殖農家出身者であり、神戸牛を中心に良質な肉の選別・コンシェルジュに定評あり。『皆様に牛肉が親しんでいただけるよう、分かりやすく解説します。』
【定義】神戸牛とは
神戸牛とは、出荷時に神戸肉流通推進協議会が制定する基準を満たした但馬牛（たじまうし）のことです。その厳格な基準は多岐にわたり、例えば以下があります。
- ・兵庫県産
- ・素牛が但馬牛
- ・歩留等級がA等級またはB等級
- ・肉質等級が4等級以上
- ・BMS（12段階の牛脂肪交雑基準）がNo.6～No.12
- ・月齢28ヶ月～60ヶ月
- ・未経産牛または去勢牛
- ・未経産牛の場合：重量が270kg～499.9kg以下の枝肉
- ・去勢牛の場合：重量が300kg～499.9kg以下の枝肉
神戸牛ほど、血統、肉の品質、生育環境、重量などを厳格に指定している牛肉はなく、世界一厳しい規格基準であるとされます。他のブランド牛とは一線を画す、まさに『世界一の牛肉』といえるでしょう。
神戸牛の元は「但馬牛」
全ての神戸牛の元となるのは「但馬牛」です。但馬牛とは、古くから兵庫県北部の但馬地方で飼育されていた牛のことを指します。
但馬牛は、現在に至るまで他ブランド牛との交配を避けながら、長い年月をかけて改良されてきました。その肉質は赤身と脂の絶妙なバランスが特徴で、世界のグルメ通をも唸らせます。
全ての神戸牛のルーツ（素牛）は但馬牛であり、言い換えれば、但馬牛のみが神戸牛になる資格を有しているのです。
生きている神戸牛はいない
ここで、神戸牛を語るうえで避けられない事実に触れましょう。「神戸牛」として生まれてくる牛はいません。生まれた時は全て「但馬牛」です。
神戸牛とは、但馬牛が一定の基準を満たした場合に、但馬牛の枝肉に代わるブランド名を付与された牛肉のことを指します。つまり、ブランド名を付与されるのは屠殺（とさつ）し、枝肉になった後です。生きている状態で「神戸牛」と定義することはできません。
多くのブランド牛は、生きている段階でブランド名が与えられているため、神戸牛と他ブランドとの最大の違いはここであり、生きた神戸牛がいないことこそが、神戸牛が高品質である最大の理由です。
神戸牛の歴史
今では厳格な基準のもと神戸牛として流通していますが、昔は神戸牛と但馬牛の違いは曖昧であり、偽物の神戸牛が市場に出回ることも珍しくありませんでした。
そこで、神戸牛のブランドが損なわれることを防止するため、1983年（昭和58年）に神戸肉流通推進協議会が発足。『兵庫県産(但馬牛)および神戸肉・神戸ビーフの規約』を当協議会が制定し、厳格な基準をクリアした但馬牛のみが、神戸牛と名乗れるようになりました。
この流れ無くして、神戸牛のブランドはありません。今では、名実ともに世界トップレベルの牛肉となっています。
神戸牛とその他牛肉の違い
神戸牛とその他牛肉との違いを明確にしておくことで、より神戸牛の素晴らしさが際立ちます。
ここからは「和牛・国産牛との違い」「黒毛和牛との違い」「松阪牛・近江牛との違い」について、詳細に見ていきましょう。
和牛・国産牛との違い
日本の牛肉は、大分類で「和牛」「国産牛」「輸入牛」に分けられます。
和牛とは、黒毛和種（黒毛和牛）・褐毛和種・無角和種・日本短角種の4種を指し、このうち黒毛和種が9割以上を占めています。
国産牛とは、和牛以外の日本で生産または飼育された牛のことです。輸入牛でも一定期間国内で飼育すると国産牛となります。
神戸牛は、和牛カテゴリーに属します。そのため、神戸牛は国産牛ではありません。
まとめると、「神戸牛＝和牛」であり、「神戸牛≠国産牛」です。
黒毛和牛との違い
神戸牛と黒毛和牛に違いはなく、神戸牛は黒毛和牛カテゴリーに属します。
神戸牛＜但馬牛＜黒毛和≒和牛 という分類です。
松阪牛・近江牛との違い
神戸牛と並び、日本三大和牛に数えられる「松阪牛」と「近江牛」。比較されることも多いので、違いを明確にしておきましょう。
同じ点は、神戸牛・松阪牛・近江牛いずれも、黒毛和種（和牛）に分類される点です。また、松阪牛と近江牛は生きている時点でブランドであるのに対し、神戸牛は但馬牛が枝肉になった後にブランド名が付与されます。※「特選松阪牛」「特選近江牛」を除く。
異なる点は産地です。神戸牛は兵庫県、松阪牛は三重県、近江牛は滋賀県で生産されています。
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他ブランドの追従を許さない神戸牛。国内外から人気を集められるのは、歴史・ルーツ・厳選な基準などがあってこそです。これまで一度も食べたことがない方は、ぜひ一度食べてみてください。その味に、その文化に、感動すること間違いなしですよ。
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